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干からびた体?
「うん、そんな感じだよ」
フジはアスカの言葉を素直に取り違えたようだ。眩し過ぎる笑顔にさらなる喜びを浮き立たせ、何もわかっていないアスカにその意味を明るく元気に話して聞かせる。
「ナギラさんは自然界の精霊に頼み込んだんだ」
「ああ……」
アスカは溜め息を吐くかのように頷いた。自然界の聖霊―――つまりろくでもない噂にキャッキャするクソったれ達でない精霊のことだ。生物に宿る精霊と無生物に宿る精霊が存在し、無生物に宿る精霊の声だけがアスカには聞き取れる。フジの口調からすると全ての聖霊と言えそうだが、彼らがどういった理由で肩入れし、男が〝御台様への愛に生かされている〟ことになったのかは、フジの話でアスカにも見えて来た。
「代表はどんなに飢えに苦しんでも、自分を傷付けることで耐えたんだ、だけど傷はすぐに治る、干からびた体に飢えを残して……ね」
男を慕う思いの深さからだろう。さすがにフジの口調から明るさが消えた。
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