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拒まれてもなお?
「なんてこった」
アスカの呟きにフジが頷いた。アスカが心のうちで別のことを思っているのが、フジにはわからない。男が化け物に変わるのを目の当たりにした声の辛く悲しい叫びだが、それをフジに話して聞かせようとも思わないでいた。
〝いやぁぁぁっ〟
命懸けで愛した女のその叫びが、男にはそのままの意味だったと、アスカは言葉にしたくなかった。白蠟気味の肌と銀白色を帯びた錫色の瞳は変えられないが、人間の血を糧にしないようには出来る。どれ程の苦痛を課することになるとしても、ぎりぎりのところで人間でいようとしたと、言いたくなかったのだ。
それによって男の匂いが爽やかで気持ちのいいものになったのは、アスカにもわかる。官能さを内包する清廉さは男のものでも、ヴァンパイアの金気臭さがないのはそのせいだ。化け物に変異した身を拒まれてもなお、〝御台様への愛に生かされている〟ことの結果とわかるからこそ、アスカは口にしたくなかった。
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