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変異の成り行き?
「で、味もそっけもない霞を食わせて、干からびた体をプリっプリにさせたってこったな、自然界っつっても聖霊だ、奴らはさ、野郎のクソ忌々しい男っぷりにルンルンしてっぞ」
そのアスカらしい表現が気に入ったのだろう。フジは眩し過ぎる笑顔の上により眩しい笑みを貼り付けて、感心したように何度も頷いていた。男の苦しみを思えば、笑って話せることではないが、フジには男がヌシに最後まで屈しなかったのが嬉しいようだ。そこはアスカにも理解出来る。ヌシが―――クソガキが負けたのを痛快と思う方が気持ちも楽になる。
「代表は怒り狂ったけど、ヌシさんはもっと凄かったそうだよ」
「だろうさ」
アスカがにやりとして返したのを受けて、フジも楽しげな口調で続きを話す。
「だけどすぐにヌシさんは機嫌を直した、いい暇潰しだと言ってね、変異の成り行きを見極めようということみたい、代表が逆らえないのは変わらないし、聖霊と敵対する気もなかったからね」
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