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怯えに沈む?

「あの……」 「あんた、あいつの恋人だろ」  フジの遠慮がちな返しに、アスカは畳み掛けた。 「ちんたらしてんじゃねぇぞ」 「そうじゃなくて……」  フジは戸惑っているようでいて、笑いをこらえているようでもあった。余計なお世話と言いたいのかもしれないが、そうでもないようだ。喧嘩上等で鍛えたアスカのひややかな目付きにも、怯えることなく言葉を繋げる。 「僕とヤヘヱさんの話を聞いても、まだそこへ行く?」  そして思い出したように、その話の始まりに言った台詞を口にした。 「バカ……なの?」 〝ふおふおふお〟  フジに遅れまいとしたのだろう。ヤヘヱがお気に入りらしい気味の悪い笑いで割り込んで来た。煌めきに揺らす光の粒をぴょんぴょんと意地悪げに弾ませ、フジにならって同じ台詞を声高に叫ぶ。 〝たわけが!〟  二人の様子は前と明らかに違った。アスカが幾らきつく睨んでも、フジの眩し過ぎる笑顔とヤヘヱの意地悪い煌めきが怯えに沈むことはなかった。

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