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端正な美しさ?
〝うむ〟
まさかそこでヤヘヱに頷かれるとは、アスカは思わなかった。ぴょんぴょんと意地悪げに弾んでいた光の粒も、ゆったりと落ち着いた雰囲気で穏やかに揺れている。
〝故に、御台様のご懐妊にも、我らが殿は思い煩うておられたのでござる〟
男と扱いを露骨に変えられたのにはむかつくが、ヤヘヱの心情に噛み付くことはアスカにも出来ないでいた。
命懸けで愛した女との結婚が親同士の策略としても、男はその日から女を片時も離さず、家臣の謀叛で死へと追い詰められ、女を守る為に選んだ変異のあの瞬間まで、迷うことなく貫いた。そういった生き様へのヤヘヱの思いが、アスカにはヌシが語った家臣の台詞からも感じ取れた気がする。
〝女にうつつを抜かすたわけなど領主の器に非ず〟
人質代わりに娶った女に情を寄せることは、戦乱の時代に生まれた者には許されない。それなのに女を愛し、その愛に呪われたように、男は今も端正な美しさをまとって生き続けている。
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