305 / 814

素直さに懸ける?

「おい」  その一言に、アスカは軽く凄みを利かせてヤヘヱを負かしに掛かった。フジという心強い仲間がいなければ十分な脅しになっただろう。調子よく震えてもらえたのなら、うまい具合に地雷を踏ませられる。そう目論んだが、ヤヘヱに気付かれてしまった。 〝うにゅっ!〟  ヤヘヱはふんとばかりに強気に言って、静止状態だった光の粒を筋状にし、フジへとぴょんと大きく弾ませる。さらに助けを求めるように湿っぽく唸り、アスカを悪者にした。 〝うにゅぅぅ〟  ヤヘヱはアスカを怖がらなくなった。構わないと思うアスカの凄みにしても、喋らせる為の戦術で、恐怖を与えようというものではない。 「うんうん」  そこはフジにもバレバレだった。よしよしと宥めるように頷くフジに、アスカも興ざめだ。小心者の癖に威張りたがりのヤヘヱの方が単純で扱いやすいが、眩し過ぎる笑顔のフジを苦手と思っても、男の行き先を知るにはフジの素直さに懸けるしかないことは理解した。

ともだちにシェアしよう!