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僕は幸せ者?

 フジが話題をそれとなく戻したことに、アスカは気付いていた。男の行き先で話せることを話し終えたからのようだが、男を父親と思う自分を〝おこがましい〟と言ったフジの気持ちに嘘がないのもアスカにはわかっていた。 「ったく」  タイマン相手に不足のないフジだからこそ、男とも安心安全で健康的に修羅場れる。魂の解放という目的も達成され、目くるめく愛欲の炎も頂ける。空閨覚悟の人生だ。一度でも未熟な体には箔が付き、その為にも男を父親にしてはならない。 「クソったれがっ」  アスカはフジに向って怒鳴るように言った。そこにヤヘヱがフジより先に反応した。 〝うにゅ、まごどぐじょにごじゃる〟  アスカを悪者にしたのが気掛かりなのか、怪しい喋りのままだが、アスカには意味不明なそれも、フジの喜びようからして嫌な予感しかしない。 「二人に励まされるなんて、僕は幸せ者だね」  フジの言葉に、不本意にも男を父親と認めてしまったのを、アスカは悟った。

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