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ぞっとする思い?
「はっ?」
アスカはフジに何を言われたのかを理解するのに手間取った。腹に一物あるかもしれないと警戒しようにも、くりっとした目の純朴そうな眼差しに気付いては、フジが見せた甘えもまた素直な思いと理解するしかない。それで終わらせればいいものを、どういった感情によるものなのか、自然と浮かんだ事柄で解き明かそうとしたのが間違いだった。
フジには男が父親なのは確かで、その男が何百年も引きずる女の魂がアスカの胸の奥深くにはいる。純朴そうな眼差しにも覚えがあり、アスカの顔を見詰めてフジと名乗った時と同じものと知る。あの時の怯えが今のフジにはないが、話し方にあった幼さは感じられ、それらが否応なく頭の中で結び付く。
「っうことは……」
ロングドレスにマント姿が悪いのか、母親似の女顔が悪いのか、アスカの脳裏に自分でもぞっとする思いが溢れ出る。
「いやいやいやいや、絶対ない」
アスカは余りの愚かしさに、ただただ強く否定した。
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