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パシれって?

 何が原因でこじらせたにしても、アスカには気の遠くなる話に思えた。人間の寿命には限りがある。ささっと話して、ちゃちゃっと解決しろと言いたくなるが、彼らはモンスターだ。何百年も生きている。 「クソ完璧な無表情で……」  アスカは自然とハンサムな顔を浮かべる自分にムカつくが、それで気付いたこともある。ヌシがアルファと不仲でも裏切りのない関係でいたのなら、アルファがどの程度人間に毒されたのかを気にするはずだ。それが男にはわかっていた。ヌシについても〝気にするは人狼、アルファぞ〟と話していた。少女の行方を懸念しての台詞と思っていたが、こじらせ野郎を男なりに言い表しただけのことだった。 〝君を無能と断じた者ども、無知なれど油断してはならぬ〟  男が続けたように、アスカは同類の者達に無能と思われている。うまく立ち回れれば探りには適任だろう。 「パシれってこった」  それならアルファをねちこくつつくまでと、アスカは思った。

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