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まともじゃねぇ?

「ふふっ」  笑いといっても、アスカはこの程度のもので抑えた。大声で笑ってやりたい気分でいたが、溜め息に込めたフジの気持ちを思って我慢した。ヤヘヱにも任務遂行と言った手前、意味不明に喚く酔っぱらいオヤジのように、ぐでんぐでんになっていようが馬鹿には出来ない。 「てかさ」  変態屋敷への出入りには自然界の聖霊も見ないふりをすると、フジは話していた。アスカには問題外だが、フジには腐れ男がお釈迦にしたウルトラハイパースポーツカーの通った道を瞬間移動する方が良かったことだろう。提案されても即時に却下していたが、そうなると夜っぴて歩かされることになる。それもまた真っ平ご免に思えた。 「精霊なんてのはさ……」  アスカが聖霊とのかかわりに思うのは、有りのままの自分でいられる気楽さだ。見方によっては〝落ちこぼれの用なし〟も悪くない。楽な生き方を与えられたとも言える。それでフジにこう続けた。 「まともじゃねぇ、気にすんな」

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