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僕は一番下?

「だけどアスカさんは……」  フジは遠慮がちに言葉を途切れさせたが、口調には不満な思いを溢れさせていた。それがアスカには楽しかった。もっと突っ掛かって欲しいとさえ思う。〝しもべ〟のフジには腹が立ってならないが、いい子過ぎるフジに感じる苦手さはない。無言の圧力には辟易しても、〝しもべ〟らしい厚かましさで言い返されるのなら幾らも受けて立つ。 「俺が?何?」  フジを煽るようにして問い返し、見送るつもりで建物に沿って玄関へと回った。フジは素直に付いて来ているが、アスカの問いには素直さの欠片もなく答えていた。 「アスカさんは特別だから言えるんだよ」  背中にフジの声を受けながら、アスカは少女趣味の極みのような可愛らしいポーチに立った。フジはそのまま前庭の短い敷石を進んで道路へと向かう。 「僕は一番下で、仕方ないけど」  それで諦めたというのではないようだ。プンスカして続けている。 「からかわれてばかりじゃ、たまらないよ」

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