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その甲斐が?
「クソったれがっ」
アスカが憤然と振り向くと、騒ぎ立てる声がより大きくなる。
〝代表!〟
〝アルファ!〟
〝ヌぅぅシぃぃ〟
誰もいない空間に向けて怒鳴ること程、哀れなことはないとわかっているが、我慢が出来なかった。実体を持たない精霊達でも、アスカにはそこに彼らがいるのが見えている。悪戯に大成功した喜びの声を聞かされたのだ。怒鳴り付けたくもなる。
「なめてんじゃねぇぞっ!」
こういった定番の脅し文句は、今に始まったことではない。精霊達も慣れっこになっている。〝ウフフクフフ〟と笑い合い、アスカがフジのメールにどう反応するのかを楽しみに、皆で示し合わせて沈黙していたと、平気で喋っている。彼らにとって沈黙することは試練だが、その甲斐があったということだ。今度は綺麗に声を揃えて、同じ台詞を繰り返す。
〝代表!〟
〝アルファ!〟
〝ヌぅぅシぃぃ〟
繰り返すことで、聖霊達はアスカに早く『人間外種対策警備』に行けと伝えていた。
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