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侵させない為?
「仕事じゃねぇのによ」
人間相手にイメージ優先で占いをする場合、魔女と思わせる装いは重要だが、『人間外種対策警備』へは占いをしに行く訳ではない。
「けど……」
アスカはマントのフードを頭に被せ、深く顔を隠してから続けた。
「やっぱ、これだろ?」
一部区域が観光化されたあと、出入りする人間が日に日に増えて、平日でも見掛けるようになった。人気ゲームの主人公似の顔があだとなり、観光客から意に反した流言が出回っては困る。モンスターに仕える人間達をも騙せている装いに、本物の魔女を見たと楽しまれる方が安全だ。アスカも寛いでいられる。
アスカの別荘は観光化された区域の端っこに建つが、道路は整備されていた。周囲は深い森に覆われ、立入禁止の看板も目に付く。私有地を理由にするが、本当は自然界の聖霊の棲み処を侵させない為にある。その一本道を、アスカは歩きにくいロングドレスでのんびりと、二十分程掛けて中心街へと歩いて行った。
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