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精霊なりの援護?
「グオォォォっっ!」
その吠え声と共に、下っ端が四足動物らしい素早さで受付カウンターを飛び越えた。一発かまそうというのだろう。鉤爪を覗かせ、分厚い筋肉と黒光りする獣毛に覆われた腕を振り上げる。そういった真の人狼の凶猛さが、アスカにはしっかりと見えていた。
「おいおい」
普通なら瞬間的に倒されている。しかし、下っ端の動きを見極められる余裕がアスカには十分にある。それが自然界の精霊によるものと気付いての呟きだった。ガラス越しに差し込む日差しの煌めきを使って時間と空間を歪ませ、アスカの目にだけ動きが実際より遅い速度で映されるようにしたのだ。
「勝手に何してんの?」
アスカはむすっと続けた。出しゃばられたのがむかついてならない。それでも聖霊の加勢が助けになるのはわかっている。相手はぶっ飛んだモンスターで、まともに戦えば病院行きだ。下っ端の鉤爪を妙に可愛く煌めかせるのも、精霊なりの援護と受け入れることにした。
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