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ショック死?
下っ端のパンチにどれ程の威力があるにしても、時間と空間の歪みの中では機能しない。それもアスカにすれば、下っ端の動きが余りに鈍重で退屈なばかりだった。そうなると例によって腐れ男がするなと指摘したことを始めたくなる。余計な考えをあれこれと思い巡らすのだが、やはりここは人狼の噂で時間を潰すのがいいように、アスカには思えた。
「確か……」
噂好きの聖霊達の聞くともなしに聞いた話に、瞳の色のことがあったのを思い出す。人間の姿では黒に近い茶色でも、興奮状態で真の人狼に変わったあとは、狼の目に似た黄色みを帯びるというのだ。アルファは完璧な黄金色というが、時代が変化した現代は真の人狼に変わるのもまれで、黄金色の瞳も持ち腐れ状態と、聖霊達は残念がっていた。
「興奮?」
聖霊達が残念がるのなら、思い付くのはアレしかないが、それでは人間の女をショック死させる。アスカは軽く頭を振ってフードを揺らし、間抜けな考えを笑った。
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