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フードを傾げて?

「だな、奴らが楽しんでんだ、やっぱイケっしょ」  アスカはフードの奥でにやりとして言った。人狼が人間の女といちゃつくのを、聖霊達が記憶しないはずがない。アスカに聞かせたくらいだ。秘密にする話でもないのがわかるが、人狼にすれば、それだけでも精霊達の口を封じると決めたヴァンパイアに加担する根拠にはなっただろう。その記憶は人狼の媚態と醜態を網羅した記録でもある。軽々しく喋られてはたまったものではない。 「けど……」  あと少しで下っ端の鉤爪が届くというところで、アスカは考え込むように呟いた。 「こいつの目が子供なら……」  黄色みを帯びた瞳は大人を意味する。興奮しても理性を保ち、下っ端のように見境なく襲うことはしない。それならショック死させる心配もない。 「っうと……」  精霊達が完璧な黄金色の瞳を持ち腐れ状態と残念がったのは、アルファの長引く禁欲生活への不満だったのかもしれないと、アスカはフードを傾げて思っていた。

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