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尋ね歩けば?

 モンスター達はアスカを〝特別〟と言って恐れているようだが、アスカは肉体的には人間で、その気になったモンスターには到底勝てない。下っ端が法の下で暮らしているのを忘れ、アスカに襲い掛かったのも、脆弱な人間と思ってのことだろう。そうした自分がアスカには少し情けなかった。 「なんだかな」  『人間外種対策警備』にはヌシに頼まれて出向いて来た。パシリにされただけだが、パシリらしく、ささっと終えられるはずでもあった。あとは腐れ男の〝癒し〟を探し出し、タイマン勝負を挑んで、目くるめく愛欲の炎を頂き、男の魂を解放する。その後は当初の望み通り、占いに徹して穏やかに暮らす。 「ってもさ」  タイマン相手が不明なのは構わない。〝癒し〟をもとに尋ね歩けば何とかなる。それよりアルファに会えないままに下っ端のパンチをかわすばかりの自分をどうにかすべきだ。わかっているが―――。 「クソっ」  それしか言えないのがアスカには情けなかった。

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