397 / 814
許して欲しい?
「ふふっ」
アルファの余裕たっぷりなこの笑いを聞くのは、アスカには二度目だった。挑発的に腕を組もうが、嘲るように返そうが、アルファには屁でもない。落ち着いた笑いに大人の色気を漂わせ、肉の塊から放たれる鬱陶しいまでの男臭さで、歴然とした体格差をアスカに意識させる。
「クソ……がっ」
アスカに倒せる相手ではないのだ。アルファの余裕にも文句はない。それでもアスカは素早く動けるよう腕組みを解き、攻撃に備えて身構えたが、アルファには楽しまれてしまった。
「そんなに怒らないでくれないかな」
またもアスカにはよくわからない何かに興奮し、黒に近い茶色の瞳に黄金色の色彩を微かに散らして話を続ける。
「リンは時代が変化したあとの安寧な暮らししか知らなくてね、だからかな、瞳に成人を象徴する黄色みが現れない、君の訪問は予期していなかったし、いい刺激になると使わせてもらったよ、君には迷惑なことだろうが、リンの為と許して欲しい」
ともだちにシェアしよう!