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幾ら言っても?

「ふんっ」  アスカはフードをふいっと横に揺らして、腹立たしげに言葉を繋いだ。 「んな話、聞きたかねぇぞ」  それでもアスカの頭に思いが巡る。厳しい自然の中で隠れ暮らすには、興奮しても理性を保つ必要があったのは理解する。時代が変化したあとは、暮らしも安定し、穏やかな毎日に理性を学ぶ機会がなくなったのもわかっている。リンは苦労知らずの坊ちゃん育ちだ。アスカを使ってでもというアルファの気持ちも頷けるが、尻をフリフリ階段を駆け上がるリンを見ると、何をしても無駄に思えてならない。 「で、許せってか?」  アスカはむすっと言って、ばっさりと答えた。 「嫌だね」 「そう言わずに、我らも困っているのだよ」  アルファの口調は神妙で、機嫌を取るようにも響く。 「我らは子供を群れで育てる、誰もが父であり、兄でもあるのだが、最後の子のリンにはそれがない、皆に甘えるばかりでね、なのに色気付かれたよ、やめろと幾ら言っても、聞いてくれない」

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