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奴が惚れた?

「は……っ?」  アルファから〝色気付かれた〟といった台詞が出るとは驚きだった。我がままな甘えん坊のクソったれな話と思っていたのに、恋愛絡みといった落ちを付けられた。その意外な展開に興味をそそられ、アスカはフードを上向かせてアルファを眺め遣った。 「あっと」  アルファの巨体を見上げるのが癪で、少し後ろに下がってから思いを口にした。 「リンは俺に嫉妬したっての?」  頷くように微笑まれたことで、襲われた理由もはっきりする。 「けど……」  アスカは生まれてこの方、誰とも付き合ったことがない。嫉妬とはおかしな話だが、そこは言わずに置いた。アスカにも見栄がある。見栄にも丁度いい相手がいる。アスカの可愛いアソコを夢中にさせる腐れ男のことだ。目くるめく愛欲の炎を頂く予定でもあるのだから、全くの嘘でもない。 「っうと、奴が惚れたってのは?」  リンと腐れ男、有り得ないと思うからこその面白さに、アスカはにやつきながら続けていた。

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