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二人のどちらか?

「重なった……?」  そういえばと、アスカは思った。リンは時代が変化する直前の生まれで、その後の安寧な暮らししか知らないと、アルファは話していた。 「っうと……」  リンの誕生と重なる時期にヴァンパイアへと変異したのは、〝亜種〟と言われる二人以外に存在しない。しわがれ声の初老の男と、明るく元気な喋りが特徴の有能と評されるフジのことだ。それが嫌々ながらもアスカの頭に浮かんで来る。 「マジかよ」  初老の男はヌシを盲愛し、変態屋敷の執事としてヌシの世話に明け暮れている。フジは腐れ男を父親と慕い、息子のように甘える一方で、仕事としては男の代理人を務めている。アスカには天敵の人気ゲームの主人公をもとに作られた裏設定の〝ムチ姫〟を崇拝し、罵倒も蹴りも褒美と思う秘密組織の会員でもある。自らを〝しもべ〟と呼び、きつい口調で鞭打たれるまで待ての姿勢を取るような変態だ。リンが惚れたのは、その二人のどちらかということになる。

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