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答えが出せる?
「時代の変化を迎えるに当たって、我らも彼には世話になった、あの頃のリンは子犬のようなものでね、彼も可愛がってくれていたよ」
ヴァンパイアに頼らなくてはならなかった時期には、腹立たしい思いしかないのだろう。アルファの口調は苦々しさに満ちていたが、世話になった〝彼〟には複雑な感情があるようで、苦笑めいた響きを伴わせて話を継いでいた。
「彼の明るく元気な喋りには、我らも気を許してしまったしね、時代の変化に気を取られ、変異して日が浅い彼の人間的な性質には注意を払わなかった、リンが懐くのも、大目に見ていたよ、恋に変わるとは、思いもしないことだしね、それが失敗だったと、今ならわかる」
「っうと、リンは……」
アスカは頭の中で、二人の〝亜種〟とアルファの話を照らし合わせてみた。ヌシの世話に明け暮れる初老の執事と、腐れ男を父親と慕う仕事面では有能な〝しもべ〟の変態では、悩むまでもなく答えが出せる。
「フジ……に?」
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