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なんも関係ねぇ?

「ふざけやがって」  きつい返しと同時に、アスカはフードをくいっと振って巨体を見上げた。絡み付くような匂いに顔を顰め、言うべき言葉に意識を向けて、フードの奥からむすっと続ける。 「フジってもな」  もう一度、フジと口にしたのが、アルファには意外だったようだ。驚きに目を見開きながらも、不思議そうに微笑んでいる。人狼という粗野な種族にしては、アルファの微笑みは柔和で品がいい。嫌みにも映ると、そう思えたのは、笑顔の端々にヌシの嫌らしさを感じたからだろう。不仲の裏に親密さを隠す二人だ。〝こじらせ野郎〟の深淵に触れたとも言える。アルファの強烈な匂いにしても、ヌシが見せた幻惑に似てなくはない。 「てか……」  アスカは興味を惹かれ、あとで悔やみそうなことを言い掛けたが、声音の微妙な揺れに反応したアルファにはっとし、咄嗟に言葉をすげ替えた。 「……だな」  辻褄合わせに口調を荒くして繋ぐ。 「フジっても、俺はなんも関係ねぇぞ」

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