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暑苦しいくらいに?

〝バシッ!〟  その音の激しさに、アスカは瞬間的にびくついた。間を置かず、クソマジにヤバい声を耳にして、腐れ男がアルファの指を叩き払ったのを知る。 「触らないでもらいたい」  当然のことに、アソコには裏切られた。男の声にぴくッとし、喜びを伝える。お陰でアスカはのけ反ったまま後ろに倒れそうになったが、どうにか戻し、軽く身を屈めて乱れた呼吸を整えた。 「クソ……」  そこは野放図なアソコに言った。 「……ったれが!」  後半は男とアルファに聞かせるつもりで言った。耳聡いモンスターには大声になるようにしたのは、二人共にアスカを少しも気に掛けていないことがわかったからだ。  アスカは悔しかった。二人からも脇役扱いされたのが惨めでならない。男はヴァンパイアらしく無表情だが、アルファは微笑んでいる。アスカに見せたような余裕はなく、厳しい目付きで笑っている。二人はそういった感じでアスカを無視し、暑苦しいくらいに見詰め合っていた。

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