〝代表！〟 〝アルファ！〟 〝ヌぅぅシぃぃ〟 　今日一日、事あるごとに聞かされるに違いない聖霊達の声が、アスカの頭に蘇る。 「で、あいつらに乗っかって、俺も……」 　続きは負け惜しみ気分でわざと明るく呟いた。 「ルンルン、ってな」 　精霊達の望みはアスカに三者のあいだを駆けずり回らせることだ。主役の腐れ男に脇役のアスカ、鞘当てに二番手のアルファをあてがい、応接室から追い払われたことへの報復にヌシも絡ませて、ドロドロな四角関係に陥らせたいと―――。 「ああ、クソっ」 　そう思わされていただけと、アスカにもわかった。聖霊達が何としても記憶したい噂が、目くるめく愛欲の炎と魂の解放であることは間違いない。主役が腐れ男で脇役がアスカというのも変わらないが、主役と脇役が織り成す艶話にルンルンしていたのではなかった。三者の名前しかないように、脇役を抜きにして、主役と主役級二人によるド派手な愛憎活劇に、ワクワクしていただけだった。