425 / 814

昼の眩しさ?

〝代表!〟 〝アルファ!〟 〝ヌぅぅシぃぃ〟  精霊達の楽しげな叫びが、益々盛んに、幾度となくアスカの耳に響いて来る。その生々しい響きは、脳が再生した記憶でもなければ、呟きへの追従でもない。〝落ちこぼれの用なし〟と馬鹿にされようが、生まれ持った能力によって過敏に素早く、正確無比に聞き取った声だった。 「ったく」  そうなると、どこから響いて来るのかが気になるものだが、気にするまでもなく、アスカにはすぐにわかった。エントランスホールには精霊達が宿る物を身に着けた人間はいない。暑苦しく見詰め合う腐れ男とアルファはモンスターであり、対象外だ。 「けど……」  ホールには忘れてならない存在がいた。これも〝落ちこぼれの用なし〟としての能力が認識させることだ。朝の煌めきはいつしか昼の眩しさへと移っていたが、ガラス越しに差し込む日差しの輝きに変わりはない。そこに精霊達の声音が弾むように響いているのが、アスカには見えていた。

ともだちにシェアしよう!