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昼の眩しさ?
〝代表!〟
〝アルファ!〟
〝ヌぅぅシぃぃ〟
精霊達の楽しげな叫びが、益々盛んに、幾度となくアスカの耳に響いて来る。その生々しい響きは、脳が再生した記憶でもなければ、呟きへの追従でもない。〝落ちこぼれの用なし〟と馬鹿にされようが、生まれ持った能力によって過敏に素早く、正確無比に聞き取った声だった。
「ったく」
そうなると、どこから響いて来るのかが気になるものだが、気にするまでもなく、アスカにはすぐにわかった。エントランスホールには精霊達が宿る物を身に着けた人間はいない。暑苦しく見詰め合う腐れ男とアルファはモンスターであり、対象外だ。
「けど……」
ホールには忘れてならない存在がいた。これも〝落ちこぼれの用なし〟としての能力が認識させることだ。朝の煌めきはいつしか昼の眩しさへと移っていたが、ガラス越しに差し込む日差しの輝きに変わりはない。そこに精霊達の声音が弾むように響いているのが、アスカには見えていた。
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