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男の腰巾着?

「騒ぐな」  瞬間、クソマジにヤバい声も、アスカの耳は捉えていた。男に夢中なアソコがぴくッとしたのだ。確かと言える。 「っても……」  男はクソったれな一言を発したとは思えない静謐さを身にまとい、今も受付前でアルファと暑苦しく見詰め合っている。ハゲが主流のヴァンパイアにしては珍しい、ふさふさな髪にも乱れはなく、額に掛かる一房も計算し尽くされた位置に自慢げにとどまっている。それでも男の全身をとくと眺められたことで、アスカにもこの瞬間に何が起きていたのかが理解出来た。体の重みをなくしたような不快さが答えだ。受付カウンターから自動ドア近くへと、胃にも優しい距離を、男にかかえられて瞬間移動したとわかる。 「で、アレだ」  アスカは憤然と呟き、クソマジにヤバい声を思って続けた。 「騒ぐな、ってよ」  それならと、男に背を向けて歩き出すが、男の腰巾着である自称側役の声を聞き付け、つと足を止めていた。 〝はて、いずこへ参る?〟

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