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したいように?

「ってもだ」  アスカはむすっと言って、組んでいた腕を解いた。光速度を並みの速さにするのには、自然界の聖霊に自発的にその気になってもらう必要がある。アスカにとって聖霊のおこぼれを頂くような行為だが、構わなかった。恥ずかしげもなくフードの奥でウホウホしてやれた。 「なのに、ガチにハブりやがってよ」  腹の底で膨れ上がる苛立ちのままに、そう言葉を繋げた。かしましい精霊達やヤヘヱ程ではないにしても、自然界の聖霊も気紛れに動く。無駄口を叩かず、気品に溢れていようが、自己を中心に、したいように楽しむ。 「だよな?」  それが低く脅すような調子に響いても、アスカに他意はない。ここに突っ立ち、いたずらに時間を費やすより、ヌシの用件を後回しにし、男の〝癒し〟探しに向かう方が幾らも為になる。その思いから口にした台詞だった。 「俺もしたいようにするぜ」  アスカは軽やかに続け、颯爽と自動ドアを抜けて『人間外種対策警備』の外に出た。

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