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モンスターカフェ?

「さてと」  不思議なもので、真昼の決闘に背を向けてみると、苛立ちが消えて、気分も晴れ晴れして来る。ホールに潜む激闘は別世界の出来事だ。アスカには何の関係もない。聖霊が除け者にしたからといって、根に持つのも馬鹿らしい。それにアスカは能力者というだけで、肉体的には人間だ。光速度で戦うクソったれオヤジ二人のように、永遠に近い時間を手にしてはいない。普通に流れて行く。 「大切にしねぇと」  小声で笑うように呟き、視界に望める中心街を興味深げに見回した。すぐに通りを挟んだ先にあるカフェが目に留まった。 「アレなら……」  聞き込みをするにも最適な場所と、アスカには思えた。モンスターカフェとも呼ばれるそこは、山男に給仕される話題の店でもある。腐れ男の〝癒し〟について探ろうというのだ。男に臣従儀礼するモフモフ山男のナギラの身内なら、情報源としても役立ってくれるに違いない。 「よっし」  アスカは迷わずカフェへと足を進めた。

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