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アスカは幼稚?
初対面においては、ヤヘヱにも気遣いらしきものがあったと、アスカは思う。あの時、ヤヘヱは腐れ男の名刺に宿って畏まり、占いの小部屋にアスカが来るのを孤影悄然と待っていた。男の側を離れた心細さから、怯えていたのだ。実体がないというのに、裃姿でテーブルの上にちょこんと座るヤヘヱが見えた気もした程だった。それが今では、かしましい精霊達以上に厚かましい。
〝はてさて〟
一瞬、アスカの耳には意味不明なままに響いたが、まともな喋りと認識した瞬間、声音に浮かぶ厳めしさが聞き取れた。クソったれオヤジ二人の激闘に熱くなっていたヤヘヱの頭も冷めたようだ。喋り調子が穏やかで落ち着きのある威張りたがりのジジイに戻されている。
〝いずかたに行かんとす?〟
「ふん」
ろくでもない噂ならまだしも、これを聞き流すのは大人げない。わかっているが、そう思う自分に腹が立つ。アスカは幼稚と知りつつ、ぶっきら棒に答えていた。
「モンスターカフェ」
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