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男がすたる?

「ったくよ」  アスカはモンスターカフェを前にして、ふと思い、そうした自分に苛立った。腐れ男には〝余計なことを考えるな〟と言われているが、自分の性分であり、変える気もない。それだけに、モンスター居住区の観光化から変態屋敷で目にした男二人へと思いを巡らせた自分が呪わしかった。  全面解放を望むのはモンスターではない。人間だ。同じ人間が居住区にもいる。そこに改めて気付かされたのが、アスカには疎ましく思えてならなかった。アスカの望みは平穏な暮らしにある。どういった思惑に気付かされようが、無視したいのが本音だった。  ヌシのパシリになったのも、人生に潤いをもたらす記念にと、〝もろタイプ〟の男から目くるめく愛欲の炎を頂くと決めたことによる。それも正々堂々、真正面から頂くつもりでいた。男の〝癒し〟を見付け出し、戦いを挑んでこその愛欲だ。陰でコソコソ乳繰り合っては、喧嘩上等とタイマン勝負に生きたアスカの男がすたる。

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