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何を勘違い?
部屋を満たす光には、ヤヘヱが見せる仄かな光にはない高貴さと華やかさがある。自然界の聖霊に愛されているからこその現象で、晴れの日だけでなく雨の日も曇りの日も、夜の闇の中においても、部屋には光が溢れている。人間には理解出来ないことだ。人間は寂しげで薄暗い部屋といった目に映る現実だけを見る。
言うなればこの個室は聖霊の支配下にあり、その許可なくして入れない部屋というようなものだ。好んで招かれる客が誰であるのかは考えるまでもない。そこへと案内係が階段を下りて行った。続いて下りたアスカの為に椅子を引く。
アスカはすぐには従わなかった。理想に思う毛むくじゃらな顔を見遣り、そっと静かに観察してみた。にこやかな顔付きにこれといった思惑はなさそうだが、それでも促されるままに座る気にはなれない。それで軽く脅すように声を掛けた。
「ふざけてんの?」
〝うむ〟
腹立たしいことに、何を勘違いしたのか、ヤヘヱに即座に返された。
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