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反射的な応答?

「おいっ」  アスカも間を置かずにヤヘヱに声を返した。案内係の笑顔の裏側を知ろうとしてのことなのに、ヤヘヱに返事をされては意味をなさない。その腹立たしさに駆り立てられ、フードの先を肩先へと揺らし、悔しげに言葉を繋げた。 「うるせっぞ」  途端にヤヘヱの仄かな光がどんよりとし、そこに漂う煌めきにもぎこちなさが浮かぶ。怯えたとしか見えない変容ぶりだが、アスカのきつい物言いにびくついたとは思えない。ヤヘヱにとってアスカは配下だ。邪険にされて拗ねることはあっても、怯えたりはしない。 「クソったれがっ」  ヤヘヱはヤヘヱとなったその時から、腐れ男に守られ、好き放題に甘やかされている。男なしで個室に入るのを不安にも思うだろう。ただ〝うむ〟と闇雲に繰り返していたのが、内心の不安による反射的な応答だったと、アスカにもわかって来る。威張りたがりがそれを認めないとしても、小心者の弱々しさは何かに付けてその上を行くものなのだ。

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