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尽力致します?

「何なりとお申し付け下さい」  案内係の喋りには相手をほっとさせる気遣いがある。大きな体に似合った重たげな声音をすっきりと滑らかに響かせ、顔に貼り付けた胡散臭げなにこやかさも影響し、天晴れという他ない清々しさも感じさせている。意地悪く言えば、本来の職務に立ち戻った案内係くらい鼻に付く者はいないとなる。そうした中で、メニューもないままに〝何なりと〟と言われたのだ。アスカでなくとも、むすっとしたいだろう。  これが『人間外種対策警備』の能力者達と同じ扱いというのなら、こうまでイラつくことはなかったかもしれない。彼らは肉体的には人間で、注意書きにあった事前連絡を必要とする料理を食さない。つまり案内係の〝何なりと〟には、メニューがない個室に通されたアスカへの揶揄があったと言えなくもないことになる。 「ご希望に添えるよう尽力致します」  これもアスカには何でもいいからさっさと注文しろと、そう聞こえてならなかった。

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