486 / 814
喋りを遮る?
人間との共存も奇々怪々な秘密組織といったところでは、人知れず共生へと変じられつつあるのだろう。ムチ姫の崇拝者にしても、理解し難い変態魂でもって種族の壁を軽く取り払い、交わっている。アスカの前に不意に現れた彼らに面倒な区別はなさそうだ。互いに〝しもべ〟と呼び合い、共に夢を追い回している。
そこに見る違いも些細なことだ。人間の〝しもべ〟はどちらかというと行動による直接的な痛みを欲しがるが、モンスターは言葉による精神的な縛りを求めて来る。肉体的に優れているのだ。蹴りより罵倒を好むのは当然なのかもしれない。
「っうと……」
きつく叱って注文を取らせれば、案内係を追い払えることになる。邪魔者がいなくなり、ヤヘヱから情報を引き出すという目的にも適う。そうなると、ここですることは一つだけだ。
「おいっ、あんた」
アスカは案内係の喋りを遮るように意地悪く呼び掛けた。その調子のままに声を張り上げた。
「うぜぇんだよ!」
ともだちにシェアしよう!