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喋りを遮る?

 人間との共存も奇々怪々な秘密組織といったところでは、人知れず共生へと変じられつつあるのだろう。ムチ姫の崇拝者にしても、理解し難い変態魂でもって種族の壁を軽く取り払い、交わっている。アスカの前に不意に現れた彼らに面倒な区別はなさそうだ。互いに〝しもべ〟と呼び合い、共に夢を追い回している。  そこに見る違いも些細なことだ。人間の〝しもべ〟はどちらかというと行動による直接的な痛みを欲しがるが、モンスターは言葉による精神的な縛りを求めて来る。肉体的に優れているのだ。蹴りより罵倒を好むのは当然なのかもしれない。 「っうと……」  きつく叱って注文を取らせれば、案内係を追い払えることになる。邪魔者がいなくなり、ヤヘヱから情報を引き出すという目的にも適う。そうなると、ここですることは一つだけだ。 「おいっ、あんた」  アスカは案内係の喋りを遮るように意地悪く呼び掛けた。その調子のままに声を張り上げた。 「うぜぇんだよ!」

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