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大いに疑問?

〝ふおふおふお〟  ヤヘヱにはこう憎らしげに返された。それもそのはずと、アスカにはわかっている。自然界の精霊が支配する個室だろうと、腐れ男の腕時計に宿れたのなら、ヤヘヱに怖いものはない。それこそ〝我らが殿〟の殿様気分で、配下と見なす者達の騒ぎにも悠然とし、我関せずと踏ん反り返っていられるのだ。  はぐれ者となったことで手にしたヤヘヱの性質は、甘ったれの駄々っ子に尽きる。腐れ男の威光を笠に着て、威張りたがりの小心者を形成し、ジジイ口調でそれを誤魔化す。そういった性質のままに、煌めきをゆらゆらと揺らすヤヘヱは本当に憎らしいが、変態要素がないという部分では笑いを誘う存在ではある。 「ヤヘヱさんよ」  アスカは綻ぶ口元をさらに緩め、案内係への皮肉も込めて、そそのかすように続けていた。 「あんたはさ、なんにすんの?」  それもアスカには大いに疑問だった。ヤヘヱを調子付かせて喋らせるにも、格好の話題となるのは間違いない。

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