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ヤヘヱさんと同じ?
「……だな」
アスカは思い出していた。ヤヘヱはアスカの行き先がモンスターカフェと知って、オヤジ二人の激闘を諦めても余りある何かの為にくっ付いて来た。その何かを秘する個室のテーブルに腕時計という専用の席が用意されているのは驚きだが、ヤヘヱにすれば自慢には思っても、その程度のことでクソったれな激闘を諦めてまでして来ようとは思わないだろう。誰しも卑屈な気分にさせられる部屋に近付きたくはないものだ。ましてや我がままな小心者が、頼みの腐れ男なしに来たりはしない。
「ふふん」
アスカは笑いを大きくし、満足げに呟いた。ヤヘヱを調子付かせるだけでなく、案内係を追い払える切っ掛けにもなる話題に気付けた自分が誇らしくてならない。
「ってことなら、俺もよ」
何が出て来るのかはわからないが、わからないことに期待もする。エグいものでも構わなかった。男の秘密がまた一つ解けるのだ。そう思って続けた。
「ヤヘヱさんと同じのにするぜ」
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