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俺んちの裏に?
「いえ、それは……」
案内係が即座に答えることは予想していたが、焦りを見せて考え込むとは、アスカも思っていなかった。そこに〝しもべ〟は存在しない。理想とする全身毛むくじゃらの山男がいるだけだった。
「ヤヘヱさんのご注文は常に決まっておりますが、なんと申しましても、闇の瘴気でございます、地方にて、僅かながら入手可能となる貴重な品ではございますが、人間には毒となる代物、当店の規則にも、お出しするのはヤヘヱさんのみと定められております、あなた様が闇を操れる特別な人間であられましても、お断りさせて頂くより他ございません」
案内係の重量感のある声音がアスカの耳に余韻を残す。その響きが消え行く直前に、深々と頭を下げられ、アスカは唖然として言葉を失った。それでもふと話の内容に胸がざわつき、物思わしげに小さく呟いた。
「闇の瘴気?」
そしてはっとし、確かめるように問い返していた。
「俺んちの裏にいやがった、アレか?」
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