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ヤヘヱは最高?

〝たわけがっ〟  ここでヤヘヱに口出しされるのを、アスカは意図していなかった。もう少し案内係をつつくつもりでいたが、代わりが喋りたがりの小心者というのでは、アスカにも文句はない。たわけと言われようが、それを気にして怒鳴り返すのは愚の骨頂だ。威張りたがりのジジイの流暢な喋りにも、にやりとして耳を傾ける。 〝うぬが小宅の裏手に棲まうは闇の頭目ぞ、わたくしめには手が出せぬ代物よ、味わいなるも高貴にて荘厳、ほろ酔い気分でくだを巻くなど、もったいのうて致せぬわ〟 「ってことは……」  あのぐでんぐでんな酔人ぶりも、高貴にて荘厳な味わいの酒樽に頭から突っ込んだようなものとなる。しかも酔って愚痴るには安酒の方がいいというのだから面白い。アスカの精霊達が別荘を溜まり場にし、日頃から〝ウフフクフフ〟と楽しくしている理由もわかって来る。彼らは高級志向ということだ。 「へぇ」  アスカは笑った。思った通りに、ヤヘヱは最高だった。

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