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うつけた頭でも?

「お……おい?」  一瞬、アスカは呆然とした。 「俺はど……ど……」  直後にかっとし、怒りに舌をもつれさせて叫んだ。 「ど……すりゃ!い……んだ!」 〝少し、くだるがよろし〟  それがヤヘヱの声なのは嫌でも気付く。巨樹の天辺を睨み付けるアスカに、上役らしい尊大さで緩々と話し掛けられるのは、ヤヘヱしかいない。  自然界の精霊は品のある寡黙さで見ないふりをする。アスカの精霊達は面白がるばかりで肝心なことを話さない。男の威光を笠に着るはぐれ者のヤヘヱは憎らしくあるが役には立つ。そういった違いを思いつつ、アスカは邪魔なマントを後ろに払い、腕時計にへばり付くヤヘヱと向き合った。  しっかりした口調もだが、すっきり鮮明な煌めきからして、酔ってはいない。だからこそ男はヤヘヱを置いて行ったのだ。腕時計に我が物顔で鎮座し、威張り腐って続きを話すのは、男が関知することではない。 〝さすれば闇の領域、うぬのうつけた頭でもわかろうものよ〟

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