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なんでいんの?

「マジかよ」  男を追い出すのは不可能だ。両親には団欒の場になる座り心地も最高のソファを陣取り、母親好みの薄紅色の小花柄のクッションを両脇に控えさせていようが、空間においての主人は男であって、アスカにはどうすることも出来ない。理由は別荘にある。そこに気付いてしまっては、法律的にはアスカに権利があるとしても、男を排除することは無理となる。  別荘を中心に、背後に闇の頭目が棲まうこの辺り一帯は、自然界の精霊にとって要となる支配地であり、アスカの聖霊達に見るように、仲間内には安息の地にもなっている。その精霊の精気で生きる男は、彼らの能力を可視化させた貴重な存在と言えるだろう。 「あんたさ」  ここでアスカに許されるのは、男に話し掛けることくらいだ。どの道、拳による実力行使では勝てないのだから、言葉に頼るしかない。それでアスカは威圧感を与えるよう、やや高めに腕を組み、簡明直截に聞くことにした。 「なんでいんの?」

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