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今の時代にいる?

「フジに連絡させた」  男の答えは簡潔だった。それ以上の説明を求めても無駄ということのようだが、アスカにしてもフジの名前でぴんと来るものがあった。 「っうと……」  あの忌々しいメールが脳裏をよぎる。事業内容の追加申請についてのメールだ。〝人間種人間外種における霊的被害の相談及び調査〟と記され、居住許可証にある『霊媒』に沿った内容としてあった。アスカが一週間の休み以上に腹を立てると予想していたのか、フジは追伸に言い訳らしきことも書いていた。 〝思うに、代表は『人間外種対策警備』と張り合いたいのでしょう〟  その真意がはっきりした。アスカを矢面に立たせてのアルファへの嫌がらせだ。しかし、新参者のアスカと異なり、時代が変化して以降、『人間外種対策警備』は着実に仕事をこなし、人間種社会からも信用を得ている。何の実績もない占い師ふぜいに依頼するような頓馬が、今の時代にいるとは、アスカにはどうしても思えないでいた。

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