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慎ましやかに我慢?

「おいおい」  アスカは呆れた調子に気安く続けた。 「てか、あんた、おかしかねぇか?」  男が答える代わりに僅かに首を傾げたのにはむすっとしても、胸のうちでのことだ。飽くまでも親しげに、思い遣るように話を続ける。 「俺はしがない占い師でさ、評価にしたって、しけたもんよ、依頼なんて来る訳ねぇ、ちょいと考えりゃわかるだろ、ったく、あんた、どんだけアルファを気にしてんの?」  そこでせせら笑うようにして言葉を繋ぐ。 「けど、好きにすりゃいい、俺には関係ねぇし」 「そうかな?」  男には透かさず返された。それがアスカには『人間外種対策警備』での揉め事を匂わされたようで、不思議に感じた。フジに懸想するリンの的外れな嫉妬が始まりのいざこざだが、エントランスホールでアルファを相手に暴れたのは男であって、アスカではない。アスカはリンを精霊の身勝手な介入で幾らも殴り倒せたが、慎ましやかに我慢した。その違いに何があるというのだろう。

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