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〝しもべ〟でない?
「ふんっ」
取り敢えず、アスカは憤然と鼻を鳴らした。アルファに会ったのは昨日が最初だ。男に否定されようが、たった一日で関係が生ずる訳がない。
男とも同じようなものだが、アスカの胸には過去に男が愛した女の魂が宿っている。そうした由縁すらアルファにはないのだ。それでも現代を生きるモンスターとして見れば、フジやカフェの案内係といった例がある。アルファが秘密組織の会員で、ムチ姫の〝しもべ〟というのなら理解もしようが、あの肉の塊には〝しもべ〟特有の欲望に対する繊細さはなかった。〝しもべ〟は弱々しさを旨として、押しの強さを内部に隠す。その為、アスカへも無言の圧でもってクソ真面目に迫り来た。
「っても……」
アルファにもフードを覗き込むようにして迫られたのを思い出す。熱く興奮し、無言でもなかったが、雄々しい指先を伸ばして迫り来たのは確かなことだ。マッチョな肉の塊だが、〝しもべ〟でないとは言えないのかもしれない。
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