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その台詞に少女が?
「おうっ」
アスカは自らを励ますように言って、思い付きににんまりしながら続けていた。
「だな」
厄介事が二つまとめて処理出来るのだ。多少大袈裟ではあっても、気分としては、ありがたさに泣けて来る。それで女も暗闇にアスカを誘い入れたのかもしれない。胸の奥深くに潜んでいれば、連綿たるアスカの気苦労を察して当然とは思う。ついでにと願うところは憎らしいが、負担にはならない。
「いいんじゃね?」
〝そなた……〟
その時、偶然でしかないことでも、アスカの呟きに応えたように少年の声音が耳に響いた。この暗闇は魂の記憶だ。夢を見ているのと同じであり、見聞きするだけで直接にはかかわれない。そう理解はするが、アスカには少年が穏やかな声音で報いてくれたように聞こえてしまう。
〝……の願いなど、余が……〟
だからだろう。少年が悠々として続けた言葉は闇に消えたが、その台詞に少女が呆けたように目を見張ったのが、アスカには感じ取れていた。
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