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こうも言った?
〝ガキが偉そうに〟
その片割れの台詞でわかるように、男二人は傲慢だった。時代が変化してのち、モンスター達は法律を遵守し、おとなしく暮らしている。それもあってだろう。上層を意識する一部の人間は見た目で判断するようになった。
〝チヲカテトスルモノに変異すればこちらのものさ〟
もう片方のこの台詞が、それをはっきりと物語る。金さえ払えば時間も手に入るといった軽薄さでもって、彼らはヴァンパイアになろうとしたのだ。変異にまつわる代償の恐ろしさを知らないのでは、無理もない話だが、アスカが重視するのはそこではなかった。聖霊達が聞かせた話に続いて、彼らが直接ヌシに語ったことの方を問題にした。
〝『人間外種特別保護区域』を観光化したのは、全面的な解放に向けての一時的な処置だ、人間外種への優遇もそれで終わる〟
そして下卑た嫌らしさで、こうも言った。
〝おまえがその後も保護を求めるのなら、味方を誰にするべきか、少しは考えろ〟
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