アスカが聖霊と口にしたからだろう。聖霊達が不意に声を揃えて騒ぎ出した。彼らが欲しいのはアスカと男の新しい噂であって、自分達の素行の悪さではない。美味しいネタを前に喋りたいのも我慢して、邪魔をしないよう息を潜めていたというのに、話題にされてはその努力も台無しだ。 〝そんなことより、もっともっと〟 〝アレしてコレして、ルンルルン〟 〝ちゅっちゅちゅっちゅのぐっちゃぐちゃ〟 　彼らは相も変わらず仲間内だけに通じる意味不明な言葉で軌道修正を図った。さらには締めの部分で笑い合い、それによってアスカと男の理解が得られると本気で信じているのだ。 〝ウフフクフフ〟 　アスカは顔を顰めたが、ここでも男は笑顔を崩さずにいた。 「小雀どもに付き合うたりはせぬ」 　真にうっとりさせる美声を響かせ、アスカの問いに平然と答えて行く。 「君が為、ヌシの疑念、我が思いにおいて話を付けに向こうたまで、アルファが発する虚妄に惑わせられぬようにとな」