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好きか嫌いか?

 ヤヘヱが男の威光を笠に着た小心者であることは、アスカにはわかっている。配下と見なした者に威張り腐るのも、はぐれ者となったことで得た個性と思って理解する。かつての仲間達に囲まれ、委縮してしまうことにも、とやかく言う気はない。そうしたアスカの寛大さに感謝することなく、男の腕時計にへばり付いて身を隠すヤヘヱが憎らしいだけなのだ。 「ふざけやがって」  憎らしさはヤヘヱだけに収まらない。男や精霊達にも言いたいことは多々ある。一列に並ばせて説教したいくらいだが、無理なこともわかっている。 「クソっ」  アスカは面白くなかったが、気持ちを切り替え、朝食の準備に取り掛かった。といっても、母親手製の冷凍ピザトーストをオーブンに入れて終わりだ。五分程で出来上がり、それをコップに注いだオレンジジュースで流し込む。そうしながら、結局のところ個性は好きか嫌いかの世界と思い直してみた。嫌いであればヤヘヱがここにいることはない。

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