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ばがり切っじゃ?
〝ジョバを開げだば我りゃぎゃ殿じょ〟
確かにアスカはその答えを求めていた。別荘のダイニングルームから巨樹の天辺へと瞬間移動で運ばれたアスカには全てが一瞬の出来事で、何が何やらさっぱりだった。遥か下に望める別荘のドアがきちんと閉じているのにも気付いては、どうしてそうなっているのかを知りたいと思うのも当然だろう。
人間が作り出した物に宿る精霊達には出来ないことだ。あれやこれや騒ぐことはしても、物理的には手を出せない。自然界の精霊にしても、風を吹かせたり雨を降らせたりして損壊させることはあっても、ドアの開閉といった具体的な行動には出られない。男以外に考えられないが、自慢の怪力で叩き壊したのならまだ理解もしようが、それはないとわかっている。辻褄が合わないのはむずがゆいものだ。それでアスカは男に聞いたのだが―――。
〝ばがり切っじゃごじょじょ〟
闇の領域である森の瘴気に酔ったヤヘヱに出しゃばられてしまった。
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