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アスカと共に?

「てか……」  ヤヘヱの話がアスカの中に次なる疑問を湧き立たせた。わざわざ瞬間移動までして森に紛れ込んだのは何故なのか、そこがわかっていない。 「よな?」  ヴァンパイアコスの少女の行方不明は、少女が自分の足で無事に帰宅したことで事件性のないままに終わっている。しかし、その様子がおかしかった。憑依というしかない状態だったのだ。当然『人間外種対策警備』の出番となるが、少女の父親は男とかかわりの深い事務所の所長を頼ることにした。『霊媒』が肉体的には人間であるのを理由にしてのことだった。魔女のイメージが強過ぎて、自分が人間と思われていないのを、アスカはその時に知った。  頼まれ事というのなら、ヌシにもされていた。少女の行方不明にアルファの関与がないのを確かめる為だけに、パシリといったただ働きをせがまれたのだ。それを男が『人間外種対策警備』の鼻を明かすかのように、アスカと共に表立って働ける形に変えたとも言える。

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